2009年1月18日

今回は山鳥重先生の最新本を紹介いたします．この本では，こころの働きを知・情・意の３つのキーワードからわかりやすく解説しています．

山鳥重．「知・情・意の神経心理学」青灯社．2008


感情とは何か？感情と情動は何が違うのか？クオリアとは何か？認知とは何か？
心像（心的イメージ）とは何か？心像はこころとどのように結び付いているか？
意志とは何か？意志と人の行動はどのような（時間的）関係にあるのか？
意志の強いと弱い人では何が違うのか？意識するとはどういうことか？．．．

どれをとってみても直接的に答えることが難しい問題ですが，本書では，これらの疑問に対して非常にシンプルでわかりやすい解答が提示されています．

特に２章（情）のクオリア，４章（意）の意志と運動に関する解説は，非常に有名なトピックスで多くの書物で解説されていますが，それらと比べても格段にわかりやすい解説であると思います．

いずれの章も，脳や患者の事例を最小限に抑えて解説している結果，紹介された事例がとても効果的に各章の理解を促してくれます．この点については，書き手の視点にたって読んでも大変参考になります．